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41.何に見えますか?

  先週末、東京から日帰りできる2000mの山を歩いてきました。テレビの天気予報では、前線の影響で空気が入れ替わるでしょうとのこと。たしかに、前日まで続いた真夏のような蒸し暑さはありません。夏の風が「涼」なら、秋は「爽」。心地よい柔らかな風が、尾根を吹き渡ります。緑の斜面を埋め尽くすように、真夏の花マルバダケブキが花盛りですが、目立たないようにキクが咲き始めています。また、これは、全くの先入観だと思いますが、カラマツ林の緑色に少しだけ黄色が混じり始めたような気がします。

  そこここで秋の気配が漂いますが、空を見上げると、主役は、相変わらず「入道雲」。時折、遠くから怖い雷の音も聞こえてきます。日が傾き、地上からの水分補給が弱まると、入道雲の勢いも弱まり、その代わり、面白い形の雲が姿を現します。今回の山歩きで撮ったものではありませんが、雲の写真を見てください。

  1枚目は、雲に縁取られた空の部分が、天に駆け上がる「馬」に見えませんか。西の空に低く、雲がモワモワと動き、姿を隠した太陽に代わって、そこに大きな「馬」が姿を現したのです。しかし、それは束の間のこと。雲は一時もとどまることはなく、程なく、馬の姿は崩れてしまいました。

天翔ける「馬」


 2枚目は、左向きの「プードル」に見えませんか。前足を伸ばして、お行儀よく横たわっていますね。このプードル、形が崩れることはありませんでしたが、やがて、前景の雲がモワモワと動いて、その中に隠れてしまいました。

お行儀の良い「プードル」


 最後の写真は、「ひよこ」。日が沈んで、少し時間がたってますので、光が弱く、見にくいかもしれません、丸い頭と、丸い背中の「ひよこ」が左を向いてます。早くしないと日が暮れるよ、と案じていると、果たして、空から太陽の光が全て消えると、この「ひよこ」も闇の中に消えてしまいました。


 はかない「ひよこ」

 

 言うまでもありませんが、雲が「天翔る馬」や「プードル」に見えるのは、人間の判断、思い込みにすぎません。雲自体は、一瞬たりとも同じ形にとどまることのない「定め無き」存在です。

 定めが無いという意味では、あれこれと移り変わる人の心も同じです。そして、弊社が取り扱う「学力」も心の働きの一つですから、実は「定めの無さ」とは決して無縁ではありません。確かに、普段は簡単に解ける問題が入試本番では緊張して解けなかったり、逆に、尊敬する先生に励ましてもらい、自信をもって入試に挑んだおかげで、普段なら難しくて諦めてしまう難問に解答できたり、ということは珍しくないですね。

 多くの場合、「学力」はテストで測ります。しかも、時間と場所を指定して、人の人生に比べれば、一瞬といえるほどの短時間にテストを実施します。それは、変化自在の雲の一瞬の姿を写真に収めるようなものです。たまたま、受けたテストの結果(データ)が良くなかったからといって、「学力」が低いと結論づけてしまうのは、データを解釈する側の思い込みにすぎないかもしれません。

 1回だけのテストで、人の学力が分かると思うのは危険です。いや、傲慢かもしれませんね。

 

(社長)