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39.お化けー!

 今日は7月23日ですが、相変わらず、どんよりとした曇り空が続いています。今年の梅雨はいつ明けるのでしょうか。気象庁のホームページを見ると、昨年の梅雨明けは6月29日とあります。これは少し早すぎましたね。ちなみに、1993年は梅雨明けの日がはっきりしなかったうえに、記録的な冷夏となり、お米が不足してしまいました。海の日を含む三連休は山に行くには好機ですが、今年は3日とも雨まじりの梅雨寒で、14日(日)の東京の最高気温は、なんと、22.5℃でした。私も、突然、梅雨が明けることもあるから、と一縷の望みをいだいて遠出する計画を立てましたが、結局のところ、朝寝坊して近くの山を歩きました。先回も申し上げたとおり、天気相手に文句を言っても、聞き届けられることは、絶対にありませんからね。
 雨に打たれて歩きます。ヒトは天気に影響されます。林の中の薄暗さと、雨音が刻む単調なリズムは、華やかな花が少ないことも加勢して、少しずつ気分を滅入らせます。そんな時、白いものが、ヌーッ、と姿を現しました。「ユウレイタケ」とも呼ばれる「ギンリョウソウ」です。「37.give and take」でご紹介した「ムヨウラン」と同様に、光合成を一切しない完全寄生植物です。ただ、ムヨウランの花は、カラカラのドライフラワのようですが、ギンリョウソウの花はご覧のとおりですから、キノコの仲間に間違われても仕方ないですね。

ギンリョウソウ


 到底花とは思えないギンリョウソウは、どのようにして受粉し、実を結ぶのでしょうか。ネットで調べると、ハチの仲間がこの花を訪れて、受粉を助けるのだそうです。ということは、この幽霊みたいな花も甘い蜜を出しているということでしょうか。想像できませんね。さらに、ギンリョウソウの実を食べたゴキブリの仲間が、種を運ぶのだそうです。ここで一つの疑問がわいてきます。一体全体、どのような方法で、ギンリョウソウの種を運ぶゴキブリを明らかにしたのでしょうか。
 私の想像ですが、こんな具合でしょうか。まず、調査対象とするギンリョウソウを決めます。四六時中、ギンリョウソウに集まる生き物を、目を離さず観察し、実を食べたら即座に捕まえて、糞をするまで待つ。糞の中に種が含まれているかどうかを探し、種が含まれていたら、発芽するかを確認する。発芽した種が、どの生き物が食べた実に由来するかを確かめれば、種の運び手が分かります。
 これをやり遂げるには、間違いなく相当の根気が必要です。その根気が切れないのは、一つの事実を明らかにしたいという、研究者の熱意といえるでしょう。私たちの仕事はテストを作成することと、テスト結果を分析することです。質のよいテストを作り、精確な分析と妥当な解釈を目指す私たちの仕事にも、根気が必要です。研究者の熱意と同じとはいえませんが、相応の熱意が必要であると、私は思っています。


おまけの写真

 次の写真は、ギンリョウソウと同じ完全寄生植物のツチアケビです。粘土の作り物のようですね。

ツチアケビ


 この花は、ハエドクソウ、といいます。漢字で書くと、蝿毒草で、葉を煮詰めて蝿取紙にしたそうです。今と違って手軽に防虫剤が手に入らなかった昔、この花は、きっと重宝がられたことでしょう。でも、名前が良くないですね。しかし、小さなこの花をルーペでのぞくと、結構、おしゃれですよ。

ハエドクソウ

 (社長)