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36.駆込み乗車はやめましょう

 6月に入り、野山はすっかり初夏の装いに衣替えです。雨の季節が、もうすぐそこまで来ていますから、青空を大切にしたいですね。木々の緑も濃くなってきました。強い日差しを浴びて、でんぷん作りの工場は、日の出から日没まで大忙しのフル稼働なのでしょう。輝くような青葉の林に、セミや鳥たちの声があふれ、何とにぎやかなこと。そして、色鮮やかな花々が咲き乱れ、何と華やかなことでしょう。
 新緑の緑に負けない赤い花をつけるのは、ヤマツツジです。緑と赤は、反対色の関係にあるといえるでしょう。反対色を組み合わせると、互いに引き立て合う効果があるといいます。そのせいか、ヤマツツジの花はよく目立ち、遠くからでも人の目をひきつけます。


新緑に映えるヤマツツジの花

 

 シロヤシオ(=ゴヨウツツジ)の清楚で落ち着いた白い花は、若葉の緑と静かな調和を見せています。風が吹いて、一斉に花が揺れると、白い蝶が群れ飛んでいるようにも見えます。ヤマツツジのような派手さはありませんが、いったん、この花に目がとまると、視線をくぎづけにされてしまう魅力があります。


若葉と調和するシロヤシオの花

 

 クリンソウの花が、耳に心地よく響くせせらぎの沢辺を飾っています。何層ものフィルタを通り抜けて湧き出る水は清らかで、水面(みなも)に光を受けると、不思議な模様を浮かび上がらせます。その傍らで、軽やかな風に、クリンソウがわずかに揺れてます。見飽きることはありません。


沢辺を飾るクリンソウ


 初夏の野山は美しい花であふれます。視線が花にとまると、足がとまり、花を手にとって見、時にはルーペで細部をのぞき、カメラのレンズを花に向け、シャッタを何度も何度も押します。こんな具合なので、歩みは一向に進みません。予定の5割増し、場合によっては2倍近く時間がかかってしまいます。
 花に夢中になること自体は良い事です(そのために、山歩きをしていますから)。しかし、何事も度を過ぎてはいけません。夢中になりすぎて、時間を忘れ、気づいたら暗くなりかけていて、最終バスの時間が迫っている。あわてると、道を間違え、なんでもない所で転んでケガをすることもあり得ます。そうならないためには、時間を意識し、余裕をもって行動することです。花が目にとまっても、既に何枚も写真に撮った花なら、その場を通り過ぎることも必要です。欲張りすぎは禁物です。
 納期のある仕事も同じですね。少しでも良いものを、と思うことは悪くありませんが、あれにもこれにも手をかけ過ぎて予定より遅れ、完成は納期直前。なんとか間に合って、ギリギリセーフの駆込み乗車。これでは想定外の事態に対処できません。山も仕事も、駆込み乗車はやめましょう。

 

(社長)