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28. 元気をもらう

 一年で一番寒いこの時期、3000m級の山に上ることは叶いません。しかし、上ることはできなくとも、見ることはできます。2000m級の山から遠くを眺めると、低い山々の後ろから、白い峰が姿を見せていることがあります。富士山やアルプスが良い例ですね。思いもかけない所で、チョコンと顔をだしている白い頂を見つけると、思わず歓声を上げそうになります。
 アルプスや八ヶ岳を目指すとき、中央本線を利用します。勝沼付近では、甲府盆地の奥に南アルプスがズラリと並びます。そして、韮崎を過ぎ、穴山付近まで来ると、列車はアルプスの高峰、甲斐駒ケ岳(標高2996m 以下、甲斐駒)のすぐ下を走ります。左の窓一杯に広がる甲斐駒は、列車がカーブを切るたびに微妙に姿を変え、その様子がおもしろくて、子供のように窓に張りついてしまいます。ただし、列車のスピードは速く、あっという間に小淵沢を過ぎ、山は後方に退いてしまいます。
 穏やかに晴れた冬の日、特急の停まらない小さな駅で下車し、甲斐駒を見ながら道を歩くのは楽しいものです。この辺りの標高は700m程度ですから、山頂との標高差は2000m余り。随分、高いものを見上げているのだな、と感心します。甲斐駒は人が生活している所から一気にそびえているので、常に人の営みのすぐ後ろにあります。今回の写真はどれも同じような山が写ってるけど…、と思われるかもしれませんが、前景の違いを見てください。
 一枚目は、静かな集落の後ろにそびえる甲斐駒です。朝起きて、カーテンを開けると、目の前に甲斐駒が見えるなんて、何と贅沢なことでしょうか。

 

小さな集落の後ろに

 

 次は、白い煙を上げる工場の後ろにそびえる甲斐駒です。休みの日なのに、仕事なのでしょうか。人の姿は見えませんが、お昼時なので、息抜きに缶コーヒーでも飲みながら、お喋りの真っ最中かもしれません。

 

 白い煙を吐く煙突の後ろに

 

  最後は、水鳥が遊ぶ池の後ろにそびえる甲斐駒です。穏やかな日差しを浴びて、鳥たちは水を切って泳ぎまわっていました。

 

 池で遊ぶ水鳥の後ろに

 

 静かな道を、時折、車が通りますが、人影はありません。唯一、散歩中の方にお会いしました。何しに来た、どこから来た、どこへ行く、と一通りの質問の後、「この辺りは何もないけど、山は本当に美しい。山を見ると元気になるよ」と笑います。日々の暮らしは良いことばかりではないけれど、山を見れば元気が湧く。折にふれて見上げるたびに、甲斐駒から元気をもらうということなのでしょう。弊社は東京の池袋にありますので、残念ながら、山は一切見えません。テスト編集や分析業務に疲れたとき、ふと手を止めて顔をあげると、互いに信頼できる仲間がいる。山から元気をもらうように、同僚から元気をもらう。そんな会社にしたいと思います。
 
(社長)