22.お爺さんのそばかす
先日山を歩いていたら、秋になったら取り上げたいと思っていた花の写真を撮ることができました。花の名前はツルニンジン。名前の由来は、つる性の植物で、根が朝鮮人参に似ているから。ちなみに、ニンジンが名前につく花は、ツリガネニンジン、シラネニンジンなどがあります。ツリガネニンジンは、花の形が釣鐘に似ていて根が朝鮮人参に似ているから。シラネニンジンは、日光白根山で発見されて葉がニンジンの葉に似ているから。面白いですね。エッ、何がって? アッ、ここで話を終えてはいけませんでした。
ツルニンジンは「ジイソブ」とも呼ばれます。ジイは爺、ソブは信州の方言で「そばかす」で、「お爺さんのそばかす」という意味です。変な名前ですね。ちなみに、お爺さんがあるのだから、お婆さんもあります。花の名前は、「バアソブ」で、ジイソブを小ぶりにしたような感じです。
ツルニンジン(ジイソブ=お爺さんのそばかす)
しかし、この花を見て、なぜ、お爺さんの「そばかす」を連想したのでしょうか。もう一枚、ジイソブの写真を見てください。鬚(あごひげ)をたくわえた眉毛の長いダンゴ鼻のお爺さんが、歯を出して笑っているように見えませんか。この写真をもとに想像をめぐらせると…、昔々、ある人が、この花を見て、「アッ、爺さまだ!」、と叫んだ。そして、「うまい蕎麦でも食ったのかなあ、笑ってるぞ!」、と続けた。以来、この花は、ソバジイ、と呼ばれるようになり、前と後ろがひっくり返って、ジイソバになり、ジイソブになった…。いかがでしょうか? まあ、そんなわけないと思いますが、こんな具合に、自由に想像してみるのは面白いものです。ただし、まじめに名前の由来を研究なさっている方には、大変、失礼なことです。どうぞ、お許しください。
ジイソブ
弊社では、テストの結果を分析して、受験生が誤答する背景や原因等を検討しています。しかし、分析データだけでは、うまく説明できないことがあります。受験生は一人ひとり個性が違いますから、皆が同じように考えるとは限りません。また、時には、通常とは異なる考え方をしてしまうこともあります。そのため、客観的データをもとに合理的に考えても、つじつまが合わないことが生じうるのです。そういう場合、分析結果の枠組みから離れて、自在に想像をはたらかせてみることが大切です。何らかの結論めいたものが得られることもありますが、それが正しいかどうかは、継続して検証する必要があります。私にとって、花の名前の由来を想像することは、単なる遊びです。しかし、弊社にとって、受験生について想像をめぐらすことは、今後の問題作成に有効な手掛かりを手に入れる業務の一つなのです。
(社長)
~おまけの写真:オケラ
オケラは「朮」と書きます。一方、虫のオケラは「螻蛄」です。ちなみに、無一文になることを、オケラになる、といいますが、これは螻蛄から来ているそうです。
オケラ:魚の骨みたいなものが並んでいます。