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19. 「きん・ぎん・こがね」じゃないけれど

2018年5月29日の「きん・ぎん・こがね」で、名は体をあらわさない花の例として、ヘクソカズラ、ハキダメギク、そして、ママコノシリヌグイを取り上げました。今回は、これらの花の写真を、皆さんに見ていただきたいと思います。

ヘクソカズラ(屁糞葛)

この花の写真を撮っていると、「その花の名前、知ってるの?」と突然声がかかりました。振り返ると、小太りの女性が少し怖い顔をして立っています。「ええ、ヘクソカズラ、ですよね。」「そうそう、屁糞よ。草むしりをしてて、これがあると臭くてかなわないのよね、全く。」
こんな嫌な花の写真を、何を好き好んで撮ってるんだ、と言いたげです。しかし、無理やりむしる取るから嫌な臭いがするのであって、花を見ているだけなら臭いは全くありません(花にそっと触れるぐらいなら大丈夫です)。むしり取ろうとすると嫌な臭いを出しますよ、それが嫌なら、近づくな、手をだすな。これが、ヘクソ…の生き残り戦術なんでしょうね。
この女性、どのくらい嫌な臭いか、を話し出したので、「別の花の写真を撮るので…」、と早々にその場から退散です。あー、やれやれ。

 

ヘクソカズラ

ヘクソカズラ

 

ハキダメギク(掃溜め菊)

この花の写真を撮っていると、「まー、かわいい花!」と弾んだ声。振り返るまでもなく、若い女性、しかも二人組み。私の隣に陣どって、カメラを花に向けました。すると、「この花、ちっちゃくて、ホント、かわいいね。でも、ピントが合わないなあ。」「そーね、うまくできないね。」
何度か試みてみたものの、うまくいかないらしく、カメラをおろすと、二人して、「この花、なんていうのかな?」と顔を見合わせています。予想していたとおりになってきました。しゃがみこんで写真を撮っていると、花の名前を問われることがあるのです。
名前を聞かれて、「ハキダメ…」と正直に言ったら、エッと驚いて、がっかりするでしょうね。「知りません」と嘘をついたほうが良いかもしれません。
そこで、花の写真を撮り終えた振りをして、そっと、その場から退散です。

 

ハキダメギク

ハキダメギク

 

ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い)

この花の葉や茎を指でなぞってみると、果たして、小さなトゲが指に刺さります。結構、痛いです。トゲのある植物は、アザミやイバラなど決して珍しくはありません。それなのに、なぜ、この植物だけ、こんなひどい名前になったのでしょうか。
トゲソバ(棘蕎麦)という別名もあるそうですが、やはり、ママコ…のほうがインパクトが大きいので、一般的に認知されてしまったのでしょう。
ちなみに、ママコ…は、他の植物などに茎を絡ませながら成長します(=「つる性」の植物)。葉や茎のトゲは、モノに引っかかりやすくするためのもので、ヒト(ましてや、子供)を痛い目にあわせるためのものではないのですね。
なお、花は役割を終えると、閉じて元のつぼみの状態に戻るそうです。そのため、これから咲くのか、咲き終わったのか、つぼみを見てもわかりません。面白いですね。

 

ママコノシリヌグイ

ママコノシリヌグイ

 

いかがでしょうか。いずれの花も美しく可愛らしい姿をしているのに、予想もしないひどい名前だと思いませんか。まさに「名は体をあらわさない」です。
これとは反対に、世の中には、名前は素晴らしいのに実態はひどい、という「名は体をあらわさない」例もあります。実態を十分に確認しないで、体裁の良い名前にだまされないように注意が必要ですね。

(社長)