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ザッツOK?

少し前に、山に関するNKさんの記事があった。趣味の話はその方のプライベートが垣間見れることもあり、個人的にはいつも興味深く拝見している。
その記事も、自分自身の数少ない山登り体験の記憶を呼び起こすよい機会になったのだが、頭に浮かんだのは、山に登ってリラックスできた記憶とともに、山登りには具体的に体にどんな効能があるのだろうかという疑問であった。

その疑問に関して、最近、本を通じて小さな学びがあった。
その本とは、『バカの壁』でおなじみの養老孟司さんと精神科医の名越康文さんが対談した時の内容をまとめた『「他人」の壁』という本である。その本では、養老さんも名越さんも(悩んだ時などに)山に行くことを強く勧めていた。
なかでも興味深かったのは、2人とも、何か効能や意味があるから山に行く、ということを前提とはしておらず、ただ山というものにふれればよいと考えていることであった。むしろ山は、小さな石や虫など、大半の人間にとってそれほど意味をなさないと思われるもの(=ノイズ)であふれており、それらのノイズにふれることで、人間の本質を見る目や感受性が育まれる、と2人は言うのである。

他方、山の対極にあり、人間にとってのノイズが除去された環境と2人がみなしているのが、会議室やオフィスである。
会議室やオフィスに対して向けられる2人のまなざしは非常に厳しいのだが、少し枠を広げて「職場」というものを考えた時、私はそこにはノイズが確かに存在するのではないかと思っている。それは、雑談・雑務・雑用といった「雑」のつくものたちである。
それらは、仕事の本筋には関係しないものばかりであるが、私はむしろ、山における小さな石や虫と同様に、人間の感受性を育み、仕事に「人間味」を与えてくれるものではないかと感じている。

もちろん、あまりそのような「雑」のつくものたちに意味を与えすぎると、ノイズの本質からは離れていってしまうので、ほどよい距離感で職場の「雑」とつきあっていきたいと思っている。

(NG)