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16. good partner

花に集まる虫といえば、チョウ(蝶)やハチ(蜂)などを思い浮かべますが、これ以外にも、様々な虫が蜜や花粉などをもとめて花に集まります。
なぜ花は虫たちをひきつけようとするのでしょうか。花が実になるには受粉する必要があります。受粉は花粉がめしべの先に着くことで成立しますが、花粉は自力では動けません。そこで、虫や鳥などの生きものや、風や水の流れなどの力を借りなくてはなりません。
虫に受粉の手助けをしてもらう花の場合、虫たちが花に集まるようにすることが第一条件なのです。そこで、花は虫が好むものを提供し、それにひかれて様々な虫が集まってくるのです。

ヒメジョオンとハナムグリ

写真の花はヒメジョオン(姫女苑)です。虫はハナムグリ(花潜)だと思います。
ハナムグリは、花粉を食べたり、蜜を吸ったりする際、花にモゾモゾともぐるような動きをします。そこから、「花潜り(はなもぐり)」、そして、「ハナムグリ」と名前がついたのでしょうか。もしそうなら、うまい名づけ方だなあ、と感心します。
写真のハナムグリは、花にとまると、次々に花を移動して、プイッと飛び立っていきました。ヒメジョオンは好みの花ではなかったのでしょうか。それとも、私がそばで見ているので、落ち着かなかったのでしょうか。

 

ヒメジョオンとハナムグリ

 

アジサイとヨツスジハナカミキリ

私たちがアジサイの花びらだと思っているのは「ガク」が変化したもので、「装飾花」(そうしょくか)というそうです。装飾花は虫を集めるためのもので、本物(=「真花」)は小さな花がたくさん集まって、装飾花に囲まれています。
写真は、アジサイの真花のうえにいる2匹のヨツスジハナカミキリです(おそらく交尾中のオスとメスでしょう)。隣のアジサイの花でも、別のハナカミキリのカップルが交尾中でした。
きっと、この虫にとって、アジサイの花は、蜜や花粉が最高のご馳走であるだけでなく、真花はこの上もない良質のベッドなのでしょう。花の上でご馳走に囲まれて、とは贅沢なものですね。

 

アジサイとヨツスジハナカミキリ

 

ヤブカンゾウとキリギリス

梅雨時の緑深い藪の中に咲くヤブカンゾウ(薮萱草)の橙色の大きな花は、遠くからでもよく目立ちます。
沢沿いの道に咲く花を眺めながら歩いていると、その中の一つに何かいます。近寄ってみると、キリギリスです。しかも、まったく動かない。こんなところで死んでいるのかな、とそっと手を伸ばすと、生きてるよ、と言うかのようにモゾモゾと動きました。
キリギリスは肉食だと思っていましたが、花粉も食べるのでしょう。ことによると大好物かもしれませんね。
キリギリスは漢字で、「螽斯」と書くそうです。「螽」は、アリとキリギリスの寓話を連想させて、興味深いです。

 

ヤブカンゾウとキリギリス

 

今回取り上げた花は、虫に集まってもらうために、美しい花弁を広げ、良い香りを放ち、甘い蜜を出し、(虫にとって)美味しい花粉を用意します。
虫は花から生きるうえで欠かせないものを得、花は虫のおかげで「生」をつなぐことができます。両者は、互いに良きパートナで、切っても切れない関係といえます。

弊社の場合、専門的な知見をお持ちの社外の協力者が絶対に必要です。ご協力いただける方たちにとっても弊社の仕事が有益であることが、互いに良きパートナ関係が継続するために不可欠です。
そして、その結果として、弊社にとっての花が咲き、花が実になるものと考えています。

(社長)