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チャレンジ

休日は嫁さんとよく外出をする。行くのは、自由が丘や吉祥寺、国分寺といった街だ。そんな時に私が不満に感じることがある。

それは、お昼になって食事をしようという時に、嫁さんがガストやサイゼリアなどのチェーン店ばかりを選ぶことだ。せっかくの外食なのだから、その街にしかないお店で食事をしたほうが良い思い出になるのにと私は思うのだが、嫁さんの言い分はこうだ。

「失敗したくない」。

定番の店は料理の味がわかっていて安心だが、知らない店を選んで、料理の味が期待外れだと、その日、一日中テンションが下がるというのだ。

もっともな言い分ではある。だが、そうやって失敗を恐れていては、良いお店や美味しい食事に出会うチャンスも無くしてしまうではないか。
チャレンジしなければ失敗もないが、成功も手にすることはできない。

そこで私は、ある作戦を試してみた。次の休日に行く街が決まったら、そこに美味しい食事を出す店がないかどうか、数日前からインターネットで調べるのだ。
良さそうな店が見つかったら、「へえ~、今度行く街にオシャレな店があって、土曜日でもランチをやっているんだ」「ええっ!サラダ、スープに食後のドリンクまで付いて1000円以内だって。これは安い!」「このサイトに料理の写真が載っているけど、美味しそうだよ。お店に行った人のレビューもかなりの高評価!」と、嫁さんに聞こえるようにわざと声に出す。
すると、嫁さんは(美味しいものには目がないので)パソコンの画面を一緒に見て、「たしかに良さそうね」と興味を持ってくれた。こうなればしめたものだ。

当日、街をぶらぶらしてお昼の時間が近づいたら、「この前言った例のお店、この近くにあるはずだから、見るだけでも見てみようよ」と誘導する。すると、案の定、同意した。
しかも、うまい具合に、お店の前には美味しそうな料理の写真が飾ってある。それを見て、嫁さんは(繰り返すが、美味しいものには目がないので)その店で食事することに決めた。そして、その店は「当たり」だった。嫁さんも大満足で「また来よう」と言ってくれた。

これに味をしめたのか、私が「今度はBという街ではこの店に行ってみよう」と提案すると、嫁さんは賛同することが多くなった。
もちろん、いつも「当たり」に出会えるとは限らず、失敗することもあるが、嫁さんは新しい店にチャレンジする楽しさを知ったようだ。

ところで、チャレンジすることで発見があったり、予想外の成果を手に入れたりするということは、仕事にも当てはまるのではないか。
仕事のやり方には決まりがある。先人達が試行錯誤しながら作った「こうすればミスが防げる」「こうすれば一定のクオリティのものが誰でも作れる」という手続きやマニュアルのようなものだ。たしかに、その通りにやれば失敗は少ない。しかし、どんなマニュアルであれ、状況の変化によって、古くなっていくことは免れない。
さらに、最初は「こういう理由でこのプロセスではこういうチェックを入れる」と理由があったはずだが、次第に「なぜそうするのか」がわからないまま、「前からこうしているから」というだけの理由で同じやり方が惰性で引き継がれていく。
そんな時、一度立ち止まって「本当にこのやり方がベストなのか」「他のやり方を試してみてはどうか」と考え、チャレンジすることも大事ではないか。

そう思いつつ、毎月のお小遣いが少ない私が今日もお昼休みに足を向けるのは、吉野屋やマクドナルドのような定番のお店ばかりなのだった。

(KM)