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09. 私の中の小さな常識

次の写真を見てください。これは、コチャルメルソウという名前の花です。変わった名前ですが、その姿かたちもかなり個性的です。とても小さくて地味なので、こういう花が世の中に存在すること、そして、この花がどういうところに咲いているのか、を知らないと、足元で群れをなして咲いていても、見過ごしてしまうでしょう。

 

コチャルメルソウの花

 

私がこの花を初めて「花」と認識したのは、十年以上も昔のことです。春、腰をかがめて沢辺の花を楽しんでいると、偶然、この奇妙なものが目に入りました。食虫植物だろう、と思いましたが、念のため持参の図鑑を1ページ目からめくってみました。すると、何と、これは、れっきとした「花」だったのです。

名前は、チャルメルソウ属のコチャルメルソウ。山奥のさらにその奥にそびえる高い山の谷合に、大昔からひっそりと暮らす少数民族の一部族みたいな名前に、またビックリ。ルーペを取出し、花を拡大してみると、その奇妙な形に、またまたビックリ。そして、チャルメルはあのチャルメラに由来する、との図鑑の説明を読んで少し落着きました。
なぜ、この花にガツンと殴られたような驚きを覚えたのか? 答えは簡単です。私の頭の中に存在していた花(=私の花の常識)と、この花(=自然界の「花」の現実)があまりにかけ離れていたからです。自分の小さな常識では収まりきれないものが、突然、目の前に現れれば、誰だってびっくりしてしまいます。

私たちが常識としてもっているイメージとかけ離れた花は、他にも存在します。次の写真を見てください。一体全体、花はどこに咲いているのでしょう。実は、放射状に広がる緑の葉の上にのっている小さな豆粒のようなものが、花なのです。つまり、葉の上に花が咲くのです。何ということでしょうか。私の小さな常識では、花は茎や枝の先に咲くものだ、と思っていたので、声を上げずにはいられないほどの驚きです。花の名前はハナイカダ。漢字で書くと、花筏、です。漢字で書く方が、花の感じが伝わります。


ハナイカダの花
 

自分の常識に収まらない現実に直面した時は、遠慮せずに、アッと声を上げて驚きましょう。そして、その現実がまぎれもない事実だとわかったら、それまでの自分の小さな常識を組替えて、少しだけかもしれませんが、知識の領域を広げ、理解の程度を深めましょう。ただし、それは、これまでの自分の常識の間違いを認めることになるので、多少の苦痛を伴うこともあります。しかし、わずかではあっても自分が成長するために、現実を無視したり、否定したりすることなく、勇気をもって取組む姿勢が必要ですね。

(社長)