HOME  >  研究活動  >  第1回 変なアカデミック・リサーチ・フェローです、ヨロシク!

第1回 変なアカデミック・リサーチ・フェローです、ヨロシク! 

 

 ハピラル・テスト・ソリューションズのアカデミック・リサーチ・フェローの野口裕之です。既に「はじめに」で紹介されているのですが、私は大学院の博士課程を中退して、とある教員養成大学に助手として赴任して以来、10年目に研究大学院大学に異動して、合わせて38年間にわたり大学の教員として研究と教育に従事して参りました。専門は、教育心理学・教育測定学から始まって、適性検査やパーソナリティ検査の開発や日本版の標準化、医学系のQOL (Quality of Life) 尺度テスト・検査など具体的なテスト開発研究に従事し、その後縁あって言語テストや外国語能力の共通参照枠など外国語としての言語(日本語)教育の領域でさまざまな研究を進めて来ました。5年前に名古屋大学で定年を迎えましたが研究科の紀要に書いた文章のタイトルは「線路は続くよ、どこまでも♪♪」でした。大学を定年で去っても好きな研究を止めるわけではない、ということを過去の研究を振り返りながら、書き綴ったというか書き散らしたものです。

 

 余計な話ですが、大学の教員には2つのタイプがあるようです。ひとつは定年とともにスパッと研究から離れてご自身が長年やりたかったことを実現されるタイプ。もうひとつは、自由な時間が出来たのでこれまでやりたかったができていない研究を、さあやるぞ!というタイプです。それぞれの生き方なのでどちらがいいなどという事はなく、どちらを選ぶかという生き方の問題なのです。「人生100年時代」と言われたりしますが、退職後の年数にすると30年ないし40年ある時代になったということです。結構長いですね!

 

 何と言っても、まず健康であることが大切です。基礎体力というか、何かをやるぞ!という気力の源が必要です。それには規則正しい生活習慣を身につけておくことが大切なのですが、私の場合は昼夜逆転の不規則生活が身についていて、これで大丈夫なのかなという一抹の不安があります。でも、現状では元気でハピラル社のアカデミック・リサーチ・フェローとしてこのような駄文を書く元気にあふれています!

 

 第1回目なので、なぜハピラル社と縁があるのかについて簡単に触れておきます。実は大学を定年になってからのご縁ではなく、名古屋大学に赴任してしばらく経った頃にハピラル社の現在の社長の別府正彦さん(当時は河合塾の所属)と、年末の寒い日に代々木のルノアールという喫茶店で初めてお目にかかりました。「テスト理論」に詳しい若手研究者を紹介して欲しいとテスト理論関係では日本でトップの池田央先生(当時立教大学)にお願いして、先生から名前が挙がった中に私がいたということでした。別府さんの仕事にアドバイスしたり、大学院の私の指導学生と一緒にテストのデータの分析をしたりしていました。その時の2名の院生は今は立派に育って日本で有数の大学の教員として活躍しています。

 

 ここまでに鉄道の話が出て来ませんでしたが、実は私は東京と名古屋とを新幹線で度々往復していました。「先生、大変でしょう」と仰って下さる方も少なくなかったのですが、私は大の鉄道ファン(鉄道マニアでは断じてありません)で東海道新幹線に乗れることが楽しくて仕方がありませんでした。毎回乗車した車両の番号を手帳に記録していました。ある時に、往きと同じ番号の車両に帰りに乗ったことがあり、感激したことがあります。そして、東海道新幹線の発展を肌で感じながら嬉々として往復していました。車両も最初は0系と100系でしたが、300系、500系(JR西日本)、700系、N700 系、N700 Aと進化して来ました。現在N700Sが走っていますが、この車両にはまだ乗っていません。残念なのですが、大学を定年になったことと、COVID-19 の為に出張回数が極端に減ったからです。

 

 会議もオンラインが増えて「対面」する機会が極端に少なくなったし、鉄道で移動する機会も同様になっています。私も非常勤の授業をオンラインで実施したりしました。ただ、これからはオンライン会議の時代かというと、私はそうは思いません。オンラインが「対面」にとって替わるのではなく、遠隔地とのコミュニケーションの可能性を拡げたということだと思います。ある大学の大学院で非常勤講師として授業する時に受講生に中国からオンラインで参加している方がいました。逆に海外で開催されている国際学会の基調講演を現地に行かないで参加することができます。国際学会のよさは外国の研究者と直に話せるということにあるのですが、基調講演などは現地へ行かないでもオンラインで参加できる利点は大きいです。最近はハイブリッド開催もあるようです。これはやはり「対面」のよさが見直されて、オンラインと「対面」を合わせて学会を実施することでより広い範囲の参加者を呼び込むことの重要性が認識されて来たからだと思います。

 

 ただ、特に国際学会に出かけることによって、開催地の街に出て文化・言語・歴史などを肌で感じることができます。食文化にも触れる事ができます。また、私の世代は「米語」の教育を受けて来て、「英語」の教育は受けていないなあ、などと感じることもあります。それ以上に、英語以外の言語に生で触れる機会のあることが素晴らしいです。また、欧州では鉄道が発達していて国際列車では車掌さんが職務上必要なことを列車が通る複数の地域の言語でこなしていることも見ていて面白いです。スナックカーに行って、母語が何語か分からないまま下手な英語で注文したり、訛りのある英語でサンドイッチの内容の説明を受けたりして購入して席に持ち帰るのも面白いです。席に戻ってから、「あっ、そうか。こう言ってたんだ。」と気が付いたりしたことがあります。

 

このことはまた改めて書くことにします。次回以降もよろしくお願いします。

 

記事一覧へ 

◀ はじめにへ