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「共通尺度」とは何だ?!~その2

「玉入れ」を県内の体力測定に導入したある県では(埼玉ですか?いいえ、前にも言いましたように、違います!)、県内一斉の学力テストを実施しています。同じ県内とはいっても、使用する教科書や学習する単元の順番が同じではないため、地区によって異なるテストを使用します。たとえば、A地区ではテストAを使用し、B地区ではテストBを使用します。なお、テストAの結果とテストBの結果を合わせて県全体の学力の様子を把握するため、テストAとテストBの難度は同じであると結論づけられるまで、検討委員会で十分に時間をかけて議論を重ねます。

今年も県内一斉テストが実施され、A地区のX君は100点、B地区のY君は85点でした。X君の方がY君よりも得点が高いので、学力もX君の方がY君よりも高い、ということになりますが、B地区の先生方がなにやらヒソヒソ話をしています。「こう言っちゃあ悪いけど、Y君がX君に負けるなんて、おかしいよね」「そうそう、おかしいよ。今回のテストの問題を見たかい。テストAの方がテストBより、ずっと易しいよ。」「検討委員会は何やってんだ。きちんと議論したのかな?」「検討委員会にはA地区の『あの先生』がいるからなあ。」「きっと、誰も何も言えなかったんじゃない。『あの先生』は声がでかくて、ヒトの話は聞かないから…」ヒソヒソ、ヒソヒソ…。

X君とY君の結果に疑問が出るのは、それなりの理由があります。下のイラストにあるように、X君は勉強がよくできるのですが、時々、イタズラが過ぎることがあります。今回の一斉テストの日も、さっさと問題を解き終わると時間を持て余し、問題冊子を丸めてポイ。一方、Y君は県内きっての秀才でお行儀もよく、テストを解き終わってもキチンと見直しをし、丸めてポイなんてことはありません。

ヒソヒソ話はだんだん大きくなり、テストAとテストBの難度は同じとは言えないのではないか、との問合わせが検討委員会に殺到しました。それを受けて、検討委員会が緊急招集されました。「なんだよ、まったく。検討を何度しても、難度は同じさ。X君は満点なんだぞ。」とA地区の『あの先生』が口火を切ると、皆、黙ってしまいました。そんな中、ある先生が、小さな声で、「しかしですね、やはりですね、私はですね、テストAの方が易しいような気がですね…」すると、別な先生が、もう少し大きな声で、「私もそんなふうな感じが…」それを受けてまた別な先生が、「私も、そんな気が…」そして、「私も、そんな…」さらに、「私も…」そして、とうとう、『あの先生』以外、全員がテストAの方が易しい、ということでまとまりました(バンザーイ)。

すると、「じゃあ、テストAの方がテストBより易しいとして、どうやって採点しなおすんだよォ!(プンプン)」、と『あの先生』が反撃に転じます。また、静かになりましたが、「玉入れの時と同じように、問題の難しさをもとに、1問の配点を変えればいいですよ。」そうだ、そうだ、と満場一致となったのですが、「では、どうやって、配点を変えればいいのでしょうか。」この発言で、またもや、皆、うつむいてしまいました。「テストAの方が易しいのだから、1問の配点を5点から4点に下げればいいのではないでしょうか…」「なるほど、すると、X君は80点、Yは85点ということになりますから、Y君の方がX君よりも学力が高いといえますね。」

「ちょっと、待ったァ。何で、X君は全問正答なのに100点じゃないんだよ。こんなことしたら、だれも納得しないぞ。全問正答したのに100点じゃあないなんて、そんなテストがあるもんか。」と『あの先生』が音量を3倍にして反論です。「じゃあ、得点率を出してみましょう。テストAは100点満点ではなくて、80点満点だから、X君の得点率は、えーっと、100%、あれ、元に戻っちゃったぞ。何で?」「何やってんだ。配点を1問4点にするなら、全部で25問のテストにして100点満点にしなくちゃあ、ダメだよ。X君は時間が余って退屈していたんだから、おそらく25問出題しても全問正答して100点とるさ。だから、やっぱり、X君のほうがY君より学力は上だよ。」「もし、テストAが1問4点の問題が25問のテストだとして、もしのもし、そのテストをX君が受けて全問正答して100点とったとして、Y君が85点だからといって、X君のほうがY君よりも学力が上ということになるのかなあ?」「易しいテストの100点と難しいテストの85点は、どっちが学力が上かってことでしょ? そんなこと、わかるわけないじゃん。だって、テストの易しさの程度と、難しさの程度が、具体的にわからないんだから。」「でも、さっき、テストAのほうが易しいから、配点を5点から4点に変えたでしょ。」「何言ってんの。あれは、適当に4点にしたんでしょ」「すると、玉入れの時のようにはいかないのか。万事休すだね。」「他人事だなあ。全く」「それ見ろ、難度検討しても、いや、何度検討しても難度は分からんじゃないか。そんなことなら、元のまんまで良いだろ。検討会はこれで終わりだ」と『あの先生』が音量を5倍にして周りを圧倒します。すると、それまで一言も発言のなかった先生が、「あのォ、こういう本があるんですが…」と一冊の本を取り出しました。

ジャジャ、ジャーン!

(宣伝失礼いたします)

 

「共通尺度」とは何だ?!~その3に続きます・・・?